▼投資の勉強

投資のはじめ方 『What 何に投資する?』


まとめ
  • 主な資産として現金、株式、債券、不動産(REIT)、コモディティ(商品)がある
  • 日本の投資資産は世界的にみると小さい
  • 世界視点で投資対象を選ぶことが大事
  • ほとんどの資産で値上がりしている
  • 投資収益(リターン)には源泉があり、資産ごとに異なる

「何に投資するのか」というと、まず思いつくのが、トヨタやソニーの株といった個別株ですが、世界にはもっともっと投資できるものがあります。
トヨタやソニーは大きな会社ですが、世界の投資資産から見ると、とても小さい投資対象なのです。 いきなり個別株から考えると、世界中にある魅力的な投資対象を無視し、せっかくの投資機会を失うことになってしまいます。
ここでは、広い視野で私たちが投資できる「世界中の資産」を見ていきましょう。

資産の種類

まず、資産の「種類」についてご説明します。
昔から投資資産はこのように分類されています。

現預金、株式、債券、不動産、商品(コモディティ)

投資の対象となる資産には、主に現金、株式、債券のように、古くから投資されている伝統資産と、近年、投資資産として発展してきた不動産(REIT)、コモディティ(商品)などの非伝統資産があります。
世の中にはたくさんの投資商品がありますが、そのほとんどが、これらに分類されます。(表)

■資産の種類と投資商品例
資産の種類 主な投資商品 通貨
伝統資産 現金 現金、預貯金、MRFなど
株式 日本株式 個別の日本株、日本株に投資する投信・ETFなど
外国株式 個別の外国株(米国株など)、外国株に投資する投信・ETFなど 外貨
債券 日本債券 国債、社債、日本債券に投資する投信・ETFなど
外国債券 外貨預金、FX、外貨MMF、外国国債(米国債など)、エマージング債、外債に投資する投信・ETFなど 外貨
非伝統資産 不動産(REIT) 日本不動産 個別のJ-REIT、J-REITに投資する投信・ETF
外国不動産 海外REITに投資する投信・ETF 外貨
コモディティ(商品) 個別の商品(金、原油、穀物など)、商品先物に投資する投信・ETFなど 外貨
その他 ヘッジファンド、プライベートエクイティなど -

世界の資産規模

投資の視点を「世界」から見るために、世界におけるこれら資産の規模を見てみましょう。
2022年末時点で、投資対象となる世界の金融資産は約335兆ドルあります。
そしてこれらの金額は、実際に世界の投資家が投資した金額です。(表)

■世界の資産規模 (2022年末時点)
資産 資産規模 構成比
伝統資産 現金 104兆ドル 31%
株式 日本株式 6兆ドル 2%
外国株式 95兆ドル 28%
債券 日本債券 15兆ドル 5%
外国債券 115兆ドル 33%
非伝統資産 不動産(REIT) 日本不動産 1100億ドル 0.03%
外国不動産 1.8兆ドル 0.5%
コモディティ(商品) 1兆ドル 0.3%
その他 - -

その構成比率は、全体の約31%が現預金、30%が株式、38%が債券となっており、非伝統資産である不動産REITやコモディティは、相対的にとても小さな規模となっています。(グラフ)

下のグラフは、1980年から2023年までの資産規模の推移を表したもので、1980年末では11兆ドルだった金融資産が、40年で約30倍に膨らんだことが分かります。(グラフ)

■世界の資産規模 推移

世界の中の日本

視点を世界に広げることで、今までと違った世界が見えてきます。
各資産を国内と海外に分けて資産規模を見た場合、世界における日本の投資資産というのは、いずれも、大体10%前後にすぎず、(想像より)小さいことが分かります。(グラフ)

■日本の投資資産

もし、世界の資産を意識せず、日本株だけに投資をしたとしたら、その時点で、株式だけでも残りの95%の投資機会を無視していることを意味します。さらに世界全体の資産から見れば、日本株式の規模はたった2%にすぎず、98%を無視することになるのです。(グラフ)

■日本株式の比率

トヨタが日本を代表する会社でも、やはり世界の資産で見ると「とても小さな対象」なのです。

最近では、金融のグローバル化が進み、個人でも簡単に外国資産への投資が可能になりました。投資においては、「世界視点で」投資対象を考えることが、投資収益を最大化する上でとても大事なことだと分かります。

過去20年の投資結果

次に、各資産の過去の投資収益(リターン)を見てみましょう。
→リターンとは・・「投資の用語集」へ

下のグラフは、「もし、20年前に100万円投資していたら、現在いくらになったか」という過去実績からの試算です。
外国資産に関しては、全て円換算し、為替変動も含まれています。(グラフ)

■資産ごとの資産価値の推移

  2004年1月 2023年12月
現金 100万円 100万円
日本株式 100万円 340万円
外国株式 100万円 720万円
日本債券 100万円 130万円
外国債券 100万円 220万円
外国不動産 100万円 510万円
コモディティ 100万円 130万円
100万円 670万円

(※配当は全て再投資し、配当の税金、再投資の売買コストは考慮せず)

このデータから、下記のようなことが分かります。

  • ほとんどの資産で収益を生んでいる(値上がりしている)
  • 資産によって、収益の大きさが違う
  • 資産によって、上下のぶれ幅が違う

なぜ資産は値上がりするのか

それでは、何故、資産は値上がりするのでしょう?
何故、収益の大きさが異なるのでしょう?
それは、資産ごとに収益を生む源泉があり、また、それが異なるからです。
(これは、投資がギャンブルとは違う、最も大きな理由です。)

■資産ごとのリターンの源泉
資産 リターンの源泉
現金 -
株式 日本株式 ・会社の利益成長
外国株式 ・会社の利益成長
・為替変動
債券 日本債券 ・貸付金に対する利子
外国債券 ・貸付金に対する利子
・為替変動
不動産(REIT) 日本不動産 ・賃貸収入
・不動産価格の上昇
外国不動産 ・賃貸収入
・不動産価格の上昇
・為替変動
コモディティ(商品) ・商品価格の上昇
・為替変動

例えば、株式の投資収益(リターン)の源泉は「会社の利益成長」にあります。
リターンの直接的な要因である「株価」および「配当」は、すべて会社の利益に基づきます。会社の利益成長は、保有している1株あたりの利益・配当を上昇させ、株価上昇の要因となります。また、配当額そのものの上昇要因となります。
(短期的には、投資家の考える会社の利益成長度合いの評価が異なるため、本来の価値とミスマッチした価値が株価に反映されますが、長期的には本来の価値に収束されていきます。

日本株式は良くない!?
日本株式のリターンは残念なことに、過去20年においてマイナスリターンとなっています。
これはバブル期に、投資家の「会社の利益成長への期待値」が大きすぎ(本来の価値を超えて評価され)、その後、本来の価値へ収束する過程であったためと考えられます。
この期待値はPERとして表れ、バブル時のPERは最高で90倍、当時の米国が15倍と考えると、そのミスマッチの大きさが分かります。
(1992~2011の20年グラフ)
追記:(2022年1月)
最新データの過去20年 (2004-2023)では、日本株式もプラスリターンになっています。
また2021年には、バブル崩壊後から実に31年ぶりに最高値を記録しました。

よく、株式投資は「美人投票だ」と言われますが、美人かどうかの判断基準にあたるものが「利益」なのです。この原則は日本に限らず、どの国の(会社の)株式も同じで、株式投資のリターンを生む源泉となります。
会社の利益が成長しているのに、株価が下がり続けることは無く、逆もしかりです。つまり、過去20年において株式が値上がりしてきたことは、「世界全体で、会社が成長し続けてきた」ことを表しているのです。

賢人の言葉より
「短期的には、株式市場は投票のための装置である。しかし、長期的には、価値を測るための装置である。」
-ベンジャミン・グラハム(バフェットの師でもある伝説の投資家)

外国資産特有の「リターンの源泉」

外国株式や外国債券など外国資産の場合は、もう一つの源泉として「為替変動」が加わります。
これは、外貨建て資産に投資する場合に必ず加わる要素です。
例えば、投資資産が米ドルなどの場合、投資時(購入する時)と、換金時(売却する時・配当を受け取る時)の為替レートが異なる場合、その差分がリターンに影響します。投資後、円安になれば、為替リターンはプラスになり投資収益を押し上げ、円高になれば、為替リターンはマイナスとなり投資収益を下げます。

過去20年の実績を見ると、ドル/円の為替リターンはマイナス傾向(=円高傾向)であり、投資収益を下げていることが分かります。100万円分のドルが、20年後に88万円になりました。(グラフ)
為替によるマイナスを考えると、外国資産への投資は不利なように見えますが、必ずしもそうではありません。実際、日本株式よりも、為替変動を考慮した外国株式(円ベース)の方が、リターンが大きくなっています。これは、為替によるマイナス以上に、外国株式の価値が成長した事を表しています。

■為替変動の影響

 
(建てベース)
米ドル
(建てベース)
為替リターン
外国株式 10.3% 8.8% 1.5%
日本株式 6.3% - -

資産ごとのリスク・リターン分布

もうひとつ、指標を見てみましょう。
以下は、過去20年における各資産の年率平均したリスクとリターンの分布図で、資産ごとの「ハイリスク・ハイリターン度合い」を直感的に知ることができます。
→リスクとは・・「投資の用語集」へ

図の右上に分布されている資産ほど、「ハイリスク・ハイリターン」であるといえます。逆に左下は「ローリスク・ローリターン」、そして理想的なのが、より左上に分布されている資産で、「ローリスク、ハイリターン」な資産となります。
コモディティを見ると、残念ながら、(過去20年においては)あまり良い資産では無いことが分かります。かなり右下に分布されており、他の資産よりも高いリスクをとっているのですが、リターンは大きくありません。
一般的に、「株よりも債券の方が安全」と言われるのは、この図を見ると理解しやすいかと思います。株式に比べ、左側に分布されています。リターンを比べても悪くなく、過去20年間において、債券は良い投資対象資産であったといえます。

■資産ごとのリスク・リターン分布

それでは、高いリターンを望むなら「外国株式」、逆に低いリスクを望むなら「債券」、という感じで投資すればよいのでしょうか。
はい、それでも間違いではありませんが・・実は、もっと良い資産を「作る」ことができます。これが、投資の真髄なのですが、複数の資産を組み合わせることで、より左上に分布される資産が作れるのです。
ここでは「ポートフォリオ」と表示されているものが、新たに作った資産です。
これは、単純に全ての資産(8つ)に、均等の比率(約12.5%ずつ)で投資した場合の、ひとつの仮想資産です。
他の資産と比べてみると、直感的に「バランスの良い資産」だと感じませんか?株式の高いリターンと、債券の低いリスクのいいとこ取りをした感じです。

なぜ、そうなるかは別のコーナーで説明したいと思いますが、ここでは、「何に投資するのか」というテーマなので、下記のようにまとめたいと思います。


まとめ
  • 最終的には「自分なりの仮想資産」が投資対象資産となる
  • その仮想資産を構成する要素として、株式や債券、不動産などの資産がある
  • 各資産はそれぞれリターンの源泉があり、それがリターン・リスクの大きさを決める

最後に

「何に投資をするのか」を考える時は、その資産の過去実績を見るだけでなく、必ず対象資産の「リターンを生む源泉」を一緒に考えましょう。
これは、投資の勉強の中でも、とても重要な項目です。
リターンの源泉の違いによって、「リスクが高いか低いか」が決まり、「どのくらいの収益を生むか」が決まり、「どんな要素で価値が上下するか」が分かるようになります。

著名な投資家であるウォーレン・バフェットは、「私は、事業内容がよく分からない会社には投資しない」と言っていますが、これは個別の会社だけでなく、資産レベルでも当てはまります。
投資対象をよく知ることは、投資の成功を大きく左右するだけでなく、一時的な下落時にもパニックになることを防ぎます。