▼投資の勉強

投資でやるべき事 『分散投資をする』

分散投資とは

分散投資とは、「複数の資産(や銘柄)に広く投資する」ことです。
その理由は、

(分散投資の理由)
  • 投資の途中で大きな損失を抱えて強制終了しないため

分散投資をする最大の理由は、(先の例のとおり)投資の途中で大きな損失を抱えて強制終了しないため、つまり長期投資を可能にするためです。
長期投資をすることで、複利効果を活かし、投資が上手くいく確率を上げることができます。
→もっと詳しく・・「長期投資」へ

分散投資の効果を見るために、ちょっと極端な事例をご紹介します。
かつて個人投資家にとても人気のあった銘柄で、2008年9月に上場廃止になった「アーバンコーポレイション」という会社があります。この銘柄の過去実績データをもとに、分散投資の効果を見ましょう。

具体的には、アーバンが上場してから上場廃止になるまでの12年間で、「もし100万円を投資していたら、いくらになったか」というものです。
比較する銘柄は下記の3つです。

  • アーバン
  • トヨタ
  • ポートフォリオ(アーバン50%、トヨタ50%)

ポートフォリオというのは、資金100万円をアーバンとトヨタに均等に投資した場合の、ひとつの仮想銘柄です。投資当初にそれぞれ50万円ずつ購入し、最後まで何もせず保有したままとします。

■分散投資の例

2つの銘柄に分散投資された「ポートフォリオ」の最終金額を見ると、ちょうどトヨタとアーバンを均等に割った金額になります。株価の変動も、ちょうど2つの真ん中を推移しています。
当初の100万円が77万円に減ってしまいましたが、最悪の事態である投資の強制終了はまぬがれました。これで、まだ投資は続けられます。
投資で重要なのは、大儲けするより大きく損をしない事です。

アーバンは上場廃止となった極端な例ですが、同じように株価が暴落する銘柄は少なくありません。
同社のように、暴落する直前まで最高益を更新していた会社でも、環境の変化で状況が大きく変わります。当の経営者ですら予測できなかった事を、インサイダーではない一般投資家が予測するのは至難のワザです。
分散投資をすれば、このような予測できない事のリスクを減らすことができるのです。

会社の寿命は30年?
日経ビジネス誌が1983年に唱えた「会社の寿命は30年」という有名なフレーズを聞いたことがある方は多いと思います。
なかば常識になっているこの説ですが・・同誌が1999年に行なった新たな調査の結果、「もはや企業の寿命は30年どころか、10年は確実に切ったと見られる。企業が大きな影響力を保つ盛期は平均で7年以下。いずれ寿命は5年になる。」と発表したのをご存知でしょうか。
同じく、米国企業について「寿命(盛期)は約5年」であると発表しており、これらは、1989年~1999年の10年間における時価総額トップ100社の変遷を調査した結果によるものです。

■参考: 時価総額ランキング 上位10社の顔ぶれ

順位 日本企業
1989年 1999年 2023年
1 NTT NTT トヨタ
2 日本興業銀行 NTTドコモ ソニー
3 住友銀行 トヨタ キーエンス
4 富士銀行 東京三菱銀行 三菱UFJ
5 東京電力 セブンイレブン 信越化学工業
6 第一勧業銀行 富士通 東京エレクトロン
7 三菱銀行 ソニー ファーストリテイリング
8 三和銀行 住友銀行 NTT
9 トヨタ 武田薬品 KDDI
10 野村證券 三和銀行 任天堂
順位 米国企業
1989年 1999年 2023年
1 IBM マイクロソフト アップル
2 エクソン GE マイクロソフト
3 GE IBM Google
4 AT&T エクソン アマゾン
5 フィリップモリス ウォルマート NVIDIA
6 メルク AT&T META
7 デュポン インテル テスラ
8 GM NVIDIA バークシャー
9 ベルサウス コカコーラ イーライリリー
10 フォード メルク VISA
記事では「情報化、グローバル化、規制緩和の波が押し寄せる中で、企業の盛衰は過去に例がないほど激しくなっている。」とし、企業が繁栄できる平均寿命が短くなっていることを説明しています。
~この調査は1999年のものですが、2024年現在、この傾向はさらに強まっていると言ってもよいでしょう。
同誌の調査は、私たちが10年20年という長期において繁栄し続ける会社を見極める事の難しさを考えさせられる内容でした。また同時に、多くの会社に分散投資する事の意義も考えさせられます。

では、何をどのくらい分散をすればよいのでしょう?

2001年に米投資専門誌で発表された研究結果によると、米国株式の場合は無作為に選んだ約50銘柄に投資することで、「個別銘柄の不安定さ(価格変動のブレ)」の大部分が低減できることが分かっています。(50銘柄以上でも、例えば100銘柄の場合でも低減効果はほぼ同じ)
また、野村證券が行なった日本株式(約1,500銘柄)を対象とした同様の調査においても、同じ効果があることが分かっています。

■分散投資の効果

(出所:THE JOURNAL OF FINANCE -2001より)

この結果を元にすると、株式投資では50銘柄ほどに分散投資することで、投資の途中で損失を抱えたまま強制終了するリスクは小さくなることが分かります。

50銘柄でいくら必要?
しかし、実際には50銘柄に投資するには、それなりの資金が必要となります。
例えば、1銘柄あたりの投資額が40万円(大型上位50社の平均実績)で計算しても、「50銘柄×40万円=2,000万円」が必要です。これでは、分散投資したくても出来ません。
でも大丈夫です。
インデックス・ファンドを購入すれば、東証1部に上場している全ての銘柄(約2,000銘柄)に投資する場合でも、最低1万円ほどで投資ができます。
インデックス・ファンドは「少ない資金で、手間無く、かつ低コストで」分散投資を実現できる投資商品なので、このサイトではお勧めしています。
→詳しくはこちら・・「インデックス投資のはじめ方」へ

以上は株式の個別銘柄への投資をベースにした分散のお話ですが、
実は・・それよりはるかに強力な分散方法があります。

それは、株式や債券といった資産レベルでの分散です。
資産レベルでの分散とは、株に限らず世界中のあらゆる投資対象に幅広く投資するという事です。
世界全体の資産から見れば、日本株式の規模はたった2%にすぎません。 これでは、がんばって銘柄を分散しても、とても限られた範囲での分散しか実現できないのです。
→世界の投資対象を知る・・「投資のはじめ方 何に投資する?」へ

ここでは、「世界」から見て、どのような分散方法があるのか簡単にご紹介します。

株式における分散は、銘柄レベル以外にも、資産の種類、国や地域別、業種別など、様々な切り口の分散方法があるのです。もちろん、債券や不動産などにおいても、それぞれ違う切り口の分散方法があります。

ETF・インデックスファンドを購入することで、これらの様々な切り口の分散投資ができるようになります。
→詳しくはこちら・・「インデックス投資のはじめ方」へ
→ETF・インデックスファンドを探す

そして繰り返しになりますが・・
大きな損失を抱えて強制終了しないようにするために、株式の銘柄レベルの分散よりはるかに強力な、株式や債券といった資産レベルでの分散投資をお勧めします。
資産レベルでの分散投資は、投資の基本であり、世界中の機関投資家が採用している「世界標準の投資法」です。

資産レベルでの分散投資を、もっと知りたい方はこちらをご覧ください。
→「世界標準の投資法」へ

最後に、偉大な投資家であるウォーレン・バフェットの言葉をご紹介します。
ちなみに、このサイトではバフェットの言葉を多く紹介しています。それは、バフェットが投資によって世界で1、2を争う億万長者になったという実績だけでなく、財産の大部分を惜しげもなく慈善団体に寄付した姿勢など、投資家としても人間としても学ぶことが多く、その言葉は聞くに値するためです。
さて、そのバフェットですが、分散投資についてはこのように言っています。
「投資をされる方々の99%以上は、徹底した分散投資を心がけるべきです」
投資をしていると、誰もがバフェットのように「1%」の人間になることを夢見てしまいます・・・わたしは99%の方ですね。。