▼投資の勉強

投資のはじめ方 『Why なぜ投資が必要?』

投資をする理由は、人によって異なりますので、投資の必要性をすでに感じている方は、このコーナーを飛ばしてもらって構いません。以下は、あくまで投資をする理由の一つです。


まとめ
  • 投資はしなくても良いけど、した方が良い
  • 「給与+もうひとつの収入」で、収入源を新たに増やせる
  • どのような収入源とも併用できる
  • 今の収入源を減らすものではない
  • 給与収入よりも「おいしく」、労力が小さい
  • どんなに失敗しても、損失の上限が決まっている

なぜ投資が必要なのでしょう?

この答えをネットで探すと・・「インフレによる資産の目減りをカバーするため」、「老後の資金をつくるため」など色々と理由がでますが(いずれも正しい)、このサイトでは、ちょっと視点を変えて考えてみたいと思います。

私たちが生活する上で必要なものは、毎日食べていくための収入ですが、この収入を得るための手段を大きく分類すると、「会社に勤めて収入を得る」パターンと、「起業・独立して利益に応じて報酬を得る」パターンの2つが考えられます。(表)

■2つの収入パターン
収入パターン 会社に勤める
(会社員)
起業・独立する
(経営者/SOHOなど)
収入 給与 ・利益に応じた報酬
・配当
・株価の値上り益
収入の対価 労働 労働と出資

「投資する」ことの本質的な意味を考えると、上の2つの収入パターンと同じものと考えることができます。もちろん、給与とは、もらい方やもらう理由が異なりますが、「お金を手にする」という意味では、まったく同じなのです。
私たちが、何かしらの収入を得るためには対価が必要で、会社に勤める場合は、「会社に貢献する日々の労働」の対価として給与をもらいますが、投資の場合は「お金の提供」の対価として、配当や株価の値上り益を得るのです。労働という形にしても、お金という形にしても、貢献することには変わりはなく、それぞれにあった対価が得られるのです。
そのため、投資することは、今までとは違う形の「新たな収入源」をつくることになるのです。

  ★新たな収入源  
収入パターン 会社に勤める
(会社員)
←→
併用
できる
投資する
(株主)
←→
併用
できる
起業・独立する
(経営者/SOHOなど)
収入 給与 ・配当
・株価値上り益
・利益に応じた報酬
・配当
・株価の値上り益
収入の対価 労働 出資 労働と出資

そして、この「新たな収入源」のポイントは、

  • 今の収入源を確保しながら、併用できる
  • 今の収入源を減らすものではない

という点にあります。

会社での仕事に必要な労力と時間を割くことなく、収益を増やす可能性があり、かつ、投資の損益が給与収入に直接影響しない。考えれば当たり前の事ですが、改めて考えると、このような収入源は、他になかなか無いのではないでしょうか。
よって、「一つの収入源に依存するより、選択肢を増やして少しでも将来の収入を増やす」ことが、投資をする理由だと考えます。
(ちなみに、著者は、2つのいずれのパターンも経験しています。もちろん現在投資を併用しています。)

もちろん、投資をすることで、無条件に収入が増えるわけではなく、逆に「損」をするリスクがあります。そのため、「今の収入が将来においても十分安定的で、収入を増やす必要がない」という人は、投資をせず、銀行に預けた方が、むしろリスクが小さいでしょう。インフレ(物価上昇)によって、資産の実質価値が減る、という側面はありますが、インフレ時には、預貯金の金利も上昇するため、過去50年の実績を見ると、預貯金レベルである程度カバーできます。
それ以外の方は、投資を新たな収入源として検討する価値はあると思います。

投資収入のメリットとデメリット

投資収入のメリットとデメリットを見てみましょう。

(メリット)
  • 給与収入よりも「おいしく」、労力が小さい
  • どんなに失敗しても、損失の上限が決まっている
(デメリット)
  • 損をする場合もある

まず、給与収入よりも「おいしく」、労力が小さいとはどういう事でしょう。
これは収入額の大きさではなく、労力に対する収入が大きい(コストパフォーマンスが良い)という事です。なぜなら、投資をするということは、自分が働くのではなく、代わりに「投資先の経営者や優秀な社員が働いて、その結果を享受できる」からです。

投資は不健全?
「自分は何もせず、他人に働かせて・・・不愉快だ」という感じがあるかもしれませんが、投資は投資で社会にとって必要な要素なのです。
誰かが投資をすることで、会社は成長のための軍資金を得ます。そして会社の成長は、新たな雇用や賃金アップを生み、その結果、消費が活性化され、新たな会社と雇用が生まれる・・利益は納税され、社会のために使われる・・新たな技術革新が生まれ、文明が進化する・・と最後はやや大きくなりましたが、過去の歴史が証明するように、投資はとても重要な社会貢献になるのです。

ちょっとクドイですが、これは「投資」の非常にすぐれた点なので、繰り返しますが、(例えば)トヨタ自動車に投資するという事は、「株主である自分のために、経営陣はじめ約30万人の優秀な社員が働いてくれる」という事なのです。

それでは、投資のデメリットはどこにあるでしょう。
それは「損する場合もある」という事です。これは給与収入には無いデメリットです。
「給与収入よりもおいしく、労力もかからず、損もしない」なら最高なのですが、それはあり得ません。この心配が、投資を躊躇する最大の理由ですが、こればかりは無くすことはできません。ただ、間違いないルールは「どんなに失敗しても、損失の上限が決まっており、投資額が損失の上限になる」という事です。つまり、これは「一番怖い部分のリスク管理は自分で出来る」という事です。
10万円投資したら、最大で10万円の損失。この投資額を決める事が、重要で、基本的には損をしても致命傷にならない金額での投資が望まれます。

金融危機から学べること
現在米国の金融機関の状態が悲劇的なのは、投資対象を誤ったという理由以上に、損失を補えない規模で(=借金をして)投資をしていた事にあります。
自分の手持ち資金以上に損失が発生すると、資金を調達して、損失を穴埋めしなくてはいけません。個人の場合は、その時点で終りなので、この原則を(どんな誘惑があっても)守ることが重要なのです。

どのくらいの収入になるか

最後に、投資収入が具体的にいくらになるかを見てみましょう。
下のグラフは、「もし、20年前に100万円投資していたら、現在いくらになったか」という過去実績からの試算です。
外国資産に関しては、全て円換算し、為替変動の影響も含まれています。

■100万円がいくらになったか

  2004年1月 2023年12月
現金 100万円 100万円
日本株式 100万円 340万円
外国株式 100万円 720万円
日本債券 100万円 130万円
外国債券 100万円 220万円
外国不動産 100万円 510万円
コモディティ 100万円 130万円
100万円 670万円

(※配当は全て再投資し、配当の税金、再投資の売買コストは考慮せず)

過去20年の実績から言えば、投資する資産によって収益の大きさが違いがあるものの、ほとんどの資産で収益を生んでいる(値上がりしている)ことが分かります。
そのため、過去に限って言えば「投資による新たな収入源」は損することなく、有益な収入源であったと言えるでしょう。