▼投資の勉強

インデックス投資のはじめ方 『メリット・デメリット』

それでは、インデックス投資と、それ以外の投資方法を比べてみましょう。
それ以外の投資方法は、まとめて「アクティブ投資」と呼ばれています。
例えば、気に入った会社の個別銘柄(トヨタやソニーなど)に投資する場合は、特にインデックスを意識していないので、(結果的に)アクティブ投資になります。

■インデックス投資とアクティブ投資の比較
  インデックス投資 アクティブ投資
(インデックス投資以外の投資)
別名 パッシブ運用 アクティブ運用
投資方針 インデックスと連動したリターンを目指す インデックス(=ベンチマーク)以上のリターンを目指す、もしくはインデックスを意識しない
例:日経平均と連動したリターン 例:日経平均を上回るリターン
投資できる資産 全て
(株式・債券・不動産・商品など)
全て
(株式・債券・不動産・商品など)
投資方法 インデックス・ファンド(インデックス投信、ETF)の購入 個別銘柄やインデックス投信以外の投資信託の購入
投資のポイント インデックス選びが重要 具体的な投資商品(銘柄や投資信託)選びが重要
得られるリターン ・選んだインデックスしだい
・インデックスと同水準のリターン
・選んだ商品しだいで
・インデックスを上回るリターン(もしくは下回るリターン)
メリット ・少ない資金で、手間無く、かつ低コストで分散投資を実現できる
・資産配分の設計がしやすい
・投資判断するためのデータが豊富
・投資商品が豊富
・ホームランの可能性がある
・面白みがある
デメリット ・投資商品が少ない
・ホームランは狙えない
・面白みがない
・運用の手間とコストがかかる
・市場平均を大きく下回る可能性がある
・資産配分の設計がしにくい
・投資判断するためのデータが少ない
投資商品数
(2024/1時点)
・インデックス投信:約700本
・国内ETF/海外ETF:約870本
・株式/J-REITの個別銘柄:約4,000銘柄
・アクティブ投信:約5,000本

メリット

インデックス投資の最大のメリットは、「少ない資金で、手間無く、かつ低コストで分散投資を実現できる」ことにあります。日経平均に採用されている銘柄(225銘柄)すべてに投資する場合でも、ひとつのETF(もしくは投信)を購入するだけで良く、1万円くらいから購入できます。
別のコーナーで説明していますが、分散投資は投資の勝率を上げる重要な要素なので、これだけでもインデックス投資をするメリットが十分あります。
→もっと詳しく・・「投資でやるべき事」へ

さらに、2つ目の大きなメリットとしては、「資産配分を考えた投資がしやすい」という点です。
資産配分とは、「どのような資産に、どのくらいの割合で投資するか」を決めるものです。
そして、この資産配分を決める事が、投資にあたって最も重要な作業であると言っても過言ではありません。
資産配分を考えた投資は、現代では世界の主流となっており、世界最大の機関投資家である年金基金や、保険会社、政府系ファンドなどが実践しています。
→もっと詳しく・・「世界標準の投資法」へ

資産配分を考える際には、各資産のインデックスの過去データ(価格推移データ)を元にして、組み合わせを計算するケースが多いのですが、それはインデックスの過去データは入手がしやすく、非常に長期間(過去30年、過去50年など)のデータが用意されているためです。
例えば、日本株式を代表するインデックスとして「TOPIX」、米国株式として「S&P500」、日本債券として「NOMURA-BPI総合指数」の過去データから、リスクを最小化してリターンを最大化するような資産配分比率を計算し、資産配分を決めます。
そして、それらのインデックスに連動する投資商品を購入すれば、そのまま「資産配分を考えた投資」を実践できます。

デメリット

逆にデメリットとしては、(日本ではまだ)投資商品が少ないことです。
世界には約1万種類以上のインデックスがありますが、すべてに連動する商品があるわけではなく、一部の有名なインデックスに連動した商品のみが開発・販売されています。
現在、東証や大証がETFの上場を推進していますし、また、ネット証券各社が海外ETFの取り扱いを増やしているので、今後は様々なインデックスと連動するETFが増加するものと期待しています。

その他のデメリットとしては、ホームランが狙えず、とても地味な投資であることです。
例えば「10万円が1000万円に!」とか「ベンチャー株が1年で10倍に!」といった華やかな投資結果(ホームラン)を得ることは期待できません。インデックス投資のリターンは、基本的に市場平均の水準になるため、期待できる年間リターンで数%~15%くらいだと考えられます。コツコツとヒットを打つイメージでしょうか。つまりは、とても地味な投資方法なのです。

賢人の言葉より
「喝采を浴びるような投資行動には気をつけたほうがいい。良い投資判断はあくびを誘うほどつまらないものだからだ」
-ウォーレン・バフェット “Newsweek 2009.3”より

インデックス vs アクティブ

ここでは、インデックス投資とそれ以外(アクティブ投資)の比較を行いましたが、これは、いずれかを選ぶべきという意味ではありません。実際の投資では、「完全にインデックス投資」「完全にアクティブ投資」という投資方法より、両方を組み合わせた方法が支持されているようです。
例えば、資金の80%をインデックス投資で(ヒットを狙い)、20%をアクティブ投資で(ホームランを狙う)ような投資方法です。
ちなみに、世界最大規模の機関投資家である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が実施している投資は、資金の82%がインデックス投資、18%がアクティブ投資で運用されています。(2022年度報告書より)
どのような形であれ、インデックス投資を投資方法に取り入れることは、投資の勝率を上げるために必要だと考えられます。

インデックス vs アクティブ投資信託(米国の場合)
米国1970年~2005年の約36年における実績によると、36年前にあった355本の投資信託のうち、S&P500(インデックス)のリターンを上回ったのは、わずか7%(24本)にすぎません。しかも約60%にあたる223本が(運用成績が悪いなどの理由で)消滅しています。
これは、プロの手によるアクティブ投資においても、長期間にわたり、市場平均を上回り続けることが難しいことを表しています。インデックス投信以外の投資信託を購入する際は、この7%を選ぶような目利きが必要です。残りの93%を選んだ場合は、長期投資ができずに途中終了になるか、市場平均を下回る結果となってしまいます。
投資が上手くいく可能性は、インデックス投資の方がはるかに高いのです。
アクティブ投資に関しては、「インデックスのリターンを上回る根拠がある場合のみ」投資すべきだと思います。
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